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シミックのドラフト

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 殿堂顕彰者ズヴィ・モーショヴィッツ/Zvi Mowshowitzは、2日目のドラフト・デッキを嬉々として脇にどけて(大失敗したもののようだ)、1日目のデッキ、「発狂シミック」と彼らしい名前をつけたデッキを、楽しそうに取り出した。私は空想の産物を見ていたのだと、そう認めざるを得ない。そこには《雲ヒレの猛禽》4枚に始まる厚みのある進化クリーチャーの布陣、《身分詐称》2枚、その上に《軟泥の変転》がデザートの上に乗ったチェリーのように添えられていた。私は彼に、この到底考えられない夢の続きを見るための最短コースを尋ねた。

「まずは――」と一息入れて、「オーケー、何を差し置いても大切なことは、卓と戦わないことだ。青や緑のカードを流している間は、そのカードプールをよく見ておく必要があるな」 ズヴィの言葉を聞くに、このデッキは必要な部品を組み合わせるパズルであり、卓のふたりが戦いを始めると、ふたりのデッキは機能不全に陥り滅茶苦茶な状況に巻き込まれてしまう。

「次にマナ・カーブ。《雲ヒレの猛禽》はいくらでも欲しい。すべてのゲームをこいつで始めたいし、1ターン目《雲ヒレの猛禽》、2ターン目《雲ヒレの猛禽》、3ターン目両方を進化なんて動いたら気持ちいいよね。だから絶対こいつを取らなきゃね。もはや義務だよ」 続けて彼は他に8体のクリーチャーが潜む1~2マナ域を手で示した。彼は《旧き道の信奉者》と《緑側の見張り》といった、クリーチャーの数を確保してくれるものが手に入ったことを喜んだ。

殿堂顕彰者ズヴィ・モーショヴィッツ/Zvi Mowshowitzは、『ギルド門侵犯』ブースター・ドラフトにおける素晴らしいシミック・デッキの秘密を見せてくれた。

「それと、ここを見てくれる?」ズヴィはスペルが1枚だけ置かれた空っぽなスペースを示した。「こうなりたいよね。クリーチャーは18枚がいいね。20枚ならもっといい。24枚入ったら幸せだろうなあ」 彼が言うには、欲しいスペルはそれ以外では影響を与えられないものに対処できるものだけでいい、とのことだ。彼は《交通渋滞》と《束縛の手》を好んで入れる。私は《死教団のならず者》と《鍵達人のならず者》について、全体的に進化をテーマにしたこのデッキでは異質に見えることを尋ねた。彼は、2枚入った《身分詐称》のためだけに入れたよ、と答えた。《身分詐称》の強みは無視できるほどのものではなかった。そうでなければ、彼がそれらを使うことは滅多にないだろう。

 興味深いことに、シミックにとっては序盤戦が重要であるのと同時に、デッキ構築に締まりがあることも大切だ。なぜなら進化を続けるのにパワー/タフネスの高いクリーチャーが必要だからだ。とりわけ、《力線の幻影》はこのデッキに欠かせないものだ。3パック目までに1枚も手に入れていなかったら、それを取る方針に転換した方がいい、とズヴィは言う。2枚が理想的だが、3枚では多い。毎ターン自軍を進化させる、というこの能力は、凶悪だとしか言いようがないのだ。「失敗したシミック・デッキは、この枠が《順応する跳ね顎》になるかな」


力線の幻影》。君たちのクリーチャーが進化を続けることを確実にする、完璧な5マナ・クリーチャー。

 最後に、マナの問題だ。このデッキは青と緑どちらの色も大いに必要なので、ズヴィは《シミックのギルド門》を多く使うのを好んでいる。「こう考えてみてよ。片方の色マナしか出ない手札を文句なしにキープできる初手なんて、どれくらいある?」

 私はいくつか特定のカードについて訪ねてみた。彼は《エリマキ眼魔》を「いいカードだよ。でも見た目ほどじゃないかな。3/5で殴るだけ」と評した。《呪文裂き》については「使わざるを得ないなら、入る。ほとんどのターンで、カウンターを構えるよりクリーチャーを繰り出したいと思うけど」

 この診断へのセカンド・オピニオンを得るため、私はズヴィに続く殿堂顕彰者、「ドクター」中村修平に相談した。

 進化クリーチャーとマナ・カーブの重要性について、彼はズヴィの考えと同じことを述べた。「すべてのゲームで0/1(《雲ヒレの猛禽》)から2/1(《シュラバザメ》)、1/3(《両生鰐》)と続けたいですね」 彼は手札にある進化クリーチャーはすべて繰り出したい、という点については同意した。その一方で、ズヴィと違った考えを述べる。クリーチャーは18でおおむね適正だという。「クリーチャーを20枚欲しいとは思いません」 湧血持ちのクリーチャーは、少しばかり計算が異なる。特に《瘡蓋族の突撃者》や《殺戮角》は進化を誘発させるにも良い数値を持っているのだ。

 修平が心に留めている最も大切なことのひとつは、デッキのスピードだ。自軍を強大な怪物へと成長させるのにターンを費やしたいので、修平はこの環境に存在する軽い呪文を好んでいるのだ。なかでも、彼は《力の噴出》を挙げ、さらに運良く取れれば、と《急速混成》を挙げた。おそらく、《急速混成》は対戦相手のクリーチャーに使うのと同じくらい自分のクリーチャーへ使っていることに気づくことだろう。他に修平が大いに気に入っているスペルは、《呪文裂き》だ。「相手のボムは絶対に止めるべきです」

 彼はまた、過大評価されやすいカードとして《ザーメクのギルド魔道士》と《水深の魔道士》を指摘した。主な理由はこの環境のスピードのためだ。前者の能力は、手際よく使うにはコストが重い。「《水深の魔道士》は……4ターン目に1/1ですからね。クリーチャーを進化させることもありません。良いものとは言えないでしょう。」

 私は、最初の数ピックを過ごした後にシミックへ切り替える場合、どうやってそれを判断するかを尋ねた。すると彼は、4手目に《雲ヒレの猛禽》か《神出鬼没の混成体》を見たらすぐさまシミックに切り替えます、と答えた。それらは非常に強力で、シミックが大きく空いているという決定的なサインと見ることができる。そしてズヴィが述べたように、そういった状況になれば、目をみはるような最強のエンジンを組み上げることができるのだ。


(Tr. Tetsuya Yabuki)

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