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第8回戦:悪と青呪文と暴れごと
Raphael Levy(フランス) vs Ben Stark(アメリカ)

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 スタンダードの最終戦、ラファエル・レヴィ/Raphael Levy対ベン・スターク/Ben Starkというマジック界の大物同士の対戦がフィーチャーされた。どちらもマジックの黎明期からプレイしている、プロツアー優勝経験者であり、レヴィはさらにマジックの最高の栄誉、プロツアー殿堂にも座している。このマッチの開始前に、二人はこのイベントに向けての準備についてゆっくり語り合っていた。

 マッチ前のシャッフルをしながら、スタークはレヴィに語りかける。

「ギルド門侵犯が早く出てくれて良かったよ。マジック・オンラインで1週間くらい早くドラフトできたのは最高だった。チーム内でドラフトをするのは嫌なんだ。メンバーの半分ぐらいは3色の7マナ・デッキを組もうとするし、残りのメンバーはいつも同じドラフトをするんだ。もうみんなの好みがわかっちゃってる。つまらないよね。君は誰と調整した?」

「フランスの新人たちみんなとさ」

 レヴィは答えた。

「どうだった?」

 スタークは尋ねた。彼はフランスのベテランの強さを認めていたのだ。

「強いよ。ジェレミー・デザーニ/Jeremy Dezaniは去年暮れ、グランプリ・リヨンで優勝してるしね」

 レヴィはそう答えた。

「おお、そりゃすごい。いいチームを組んだんじゃん」

 スタークは納得したように頷きながらそう言った。


ベン・スタークに《スフィンクスの啓示》を示す準備をする殿堂顕彰者ラファエル・レヴィ

 2人はシャッフルを終えるまで、ヨーロッパのマジック強者の歴史について話していた。スタークは、彼の麗しい声が全世界に届けられるよう、マイクを付けるように頼まれたのだが、彼はマイクを取り落としてしまい、笑う。

「衣装を整えるのは得意じゃないんだ。下着でもわかるだろ」

 スタークはマイクを付け直しながらそんな冗談を口にした。

ゲーム1

 レヴィは《寺院の庭》を出し、スタークは新しく環境に登場した《湿った墓》をプレイした。第3ターンに土地を出せなかったレヴィは少しばかり不利なターンを迎えていた。レヴィが2マナしかない状況下で《遥か見》を唱えようとして、その解決に入る前にスタークは笑みを浮かべた。《蒸気孔》を見付けたレヴィに、スタークは少し戸惑いを見せた。

「ううん、ライブラリー破壊をするべきかどうか。リアニデッキかもしれないな」

 スタークは《ネファリアの溺墓》を起動せず、《アゾリウスの魔除け》を使ってカードを引いた。レヴィが《熟慮》で土地を手に入れようとした後で、スタークは腹を決めて《ネファリアの溺墓》でレヴィを攻め始めた。今が攻め時だと感じたのだ。

 レヴィは《ケッシグの狼の地》で窮地を抜け出したが、まだ状況はかなり悪いままだ。スタークが《熟慮》を墓地に送ってくれたが、レヴィはまたも土地を出せずにいた。スタークはレヴィのライブラリーを空にするという長い旅路を歩むべく、毎ターン3枚ずつライブラリーを削っていく。起動の後のドロー・ステップにフランス人の殿堂顕彰者はカードを引くが、土地は来てくれなかった。

「来ない、来ない、来ない来ない来ない」

 レヴィはとても楽しげとは言えない笑みを浮かべ、悔やんだ。

 スタークが2枚目の《ネファリアの溺墓》を出したのを見て、悔しそうに、しかし平然と、レヴィは流麗な手つきでカードを片付けたのだった。

レヴィ 0-1 スターク

ゲーム2

「先手、後手?」

 スタークが尋ねる。レヴィは怪訝な目でスタークを見返した。

「いや、本気だよ」

 スタークは笑った。

「そっちがアグロなら、こんなことは聞かない。でもコントロールなら、後手を取る方が絶対にいい対戦ってのもあるよね」

 納得していない顔で、レヴィは笑い返して先攻を選んだ。

 今回も、レヴィは《寺院の庭》を出した。今回は2ターン目に《遥か見》を使えて、その次のターンにも土地を出すことができた。《寺院の庭》《氷河の城砦》《陽花弁の木立ち》《蒸気孔》と並べて、レヴィはそれらから《魔女封じの宝珠》を出した。

「それはきついな。強がりは言わないよ」

 スタークはそのアーティファクトが出たのを見て頷いた。

 その次のターン、レヴィは《ケンタウルスの癒し手》と《安らかなる眠り》を唱え、スタークのアンタップ状態の土地3枚の出方を伺う。それらの呪文が解決され、スタークはマナを使って《熟慮》を唱えた。彼のターンに、スタークは前のゲームでレヴィが陥ったのと同じ問題に直面していることを明らかにした。土地を手に入れようと《アゾリウスの魔除け》でカードを引いたが、スタークができたのは《記憶の熟達者、ジェイス》を捨てることだけだった。次のターンには土地を手に入れることができたが、その《孤立した礼拝堂》はタップ状態で戦場に出る。スタークはレヴィの《スラーグ牙》を打ち消すための《雲散霧消》のマナを確保するのがやっとだった。


レヴィのクリーチャー軍団をしのぎながら土地を求めるベン・スターク

 スタークは《ボーラスの占い師》を使ってデッキを掘り、攻撃してきたレヴィの《ケンタウルスの癒し手》を《アゾリウスの魔除け》でライブラリーに戻させて戦線を均衡に戻していく。不幸なことに、この隙を突いてレヴィは《スフィンクスの啓示》を5で唱え、手札を揃えてきた。アンタップした後、もう一度《ケンタウルスの癒し手》を唱え直したレヴィの手にはカードが満載だ。

 レヴィは2枚目の《スフィンクスの啓示》を3で唱えたが、スタークは即座にこれを《否認》する。レヴィの手札は4枚、スタークの手札は5枚。しかし盤面はレヴィの方が優位に進んでいた。その優位も、スタークが《修復の天使》を瞬速で唱え、レヴィの《ケンタウルスの癒し手》をブロックすると消し飛んでしまった。レヴィのターンにスタークがマナを使い切ったことで、レヴィは再び巨大な《スフィンクスの啓示》を唱える機会を得た。今回は7枚カードを引き、レヴィのライフはなんと33点、手札も7枚になった。しばらくの間、スタークがボード・アドバンテージを保ち、レヴィのライフを削るという展開になる。《スラーグ牙》2体が増え、殴り合いはレヴィの有利に推移していく。スタークは《記憶の熟達者、ジェイス》の協力を得、《魔女封じの宝珠》さえ何とかすれば勝てるようになるが、現時点ではそのアーティファクトが彼の勝利への道を完全に閉ざしていた。

 レヴィは攻撃し、スタークが《修復の天使》でブロックすると、スタークのライフは残り9点。レヴィのターン終了時にスタークは《スフィンクスの啓示》を4で唱え、レヴィも同じ数の同じ呪文で対応する。両プレイヤーの手札が一杯になり、ライフ総量は43対13でレヴィの有利。スタークは《記憶の熟達者、ジェイス》を自分に使い、カウンターを増やして奥義の準備を整える。レヴィはかなりのカードを引いているので、《記憶の熟達者、ジェイス》でゲームが決まる可能性はあった。レヴィもまたプレインズウォーカーである《情け知らずのガラク》を自陣に加え、それを見たスタークは解決策を求めて《熟慮》を唱える。解決された後、《情け知らずのガラク》はスタークの唯一のクリーチャー《ボーラスの占い師》を攻撃してクリーチャーが進む道を切り開いた。レヴィはデッキの枚数を数え、《記憶の熟達者、ジェイス》の手がレヴィに届いた瞬間に何が起こるかをはっきりと自覚した。

 レヴィのクリーチャーが攻撃する。《ケッシグの狼の地》があり、全てのマナは彼の手の内だ。ビースト・トークンを《記憶の熟達者、ジェイス》に、《スラーグ牙》をスタークに差し向けた。ダメージを与える前に、レヴィは《ケッシグの狼の地》を使いビーストを強化して《記憶の熟達者、ジェイス》を倒せるようにし、スタークのライフは残り8点となる。スタークはもう1枚《スフィンクスの啓示》を使って手札を整えようとするが、レヴィは《否認》の分のマナを残していた。スタークはカードを引いて眺めると、投了を宣言した。

「うん、死んだ」

レヴィ 1-1 スターク

ゲーム3

「今度は俺に先攻をくれるべきじゃないか」

 レヴィが冗談を言うと、スタークは横目でレヴィを見ながら答える。

「それはちょっと違うな。だって君は打ち消し呪文を使ってない。自分から何かやるようなデッキだろう」

 シャッフルしながら、スタークはさっきのゲームが今日の構築ラウンドでの初の敗北だと言った。

「チームのみんなを楽しませたのは、俺がリミテッドが本当に得意だからだ。構築はそれほどじゃない。つまり、5-0、10-0が見えてたのにな」

 彼はため息をついた。

「俺たち両方のディナー・タイムを邪魔してるってことさ……」

 2人ともにスタンダードのどこにでもあるタップイン土地からゲームを始める。レヴィは《遥か見》を使ってマナを増やし、コントロール対戦に必要なマナの優位を編み出していく。スタークのほうもコントロール対戦に必要な《ネファリアの溺墓》でこれを追った。

 5マナを揃えて、レヴィは打ち消し呪文の危険のある中で《魔女封じの宝珠》を唱える。スタークはもちろん《雲散霧消》を持っていて、《魔女封じの宝珠》は追放されてしまった。レヴィが一方的に勝った前のゲームの後で、スタークはこのやっかいなアーティファクトへの対策を整えていた。スタークが攻め気を見せないのを受けて、レヴィは終了ステップに《修復の天使》を瞬速で出す。次のターンから、《稲妻》級のダメージがスタークのライフを削っていった。手札を補充しようとするレヴィだったが、スタークはそこに《否認》を打ち込んだ。

 レヴィは手札わずかに2枚で、スタークはその手札に《強迫》をたたき込む。それに対応してレヴィはもう1枚の《スフィンクスの啓示》を6で唱えた。スタークは少し考えてから、《雲散霧消》を唱えた。《強迫》が解決され、《ケンタウルスの癒し手》が手札から公開される。その《ケンタウルスの癒し手》と《スラーグ牙》が攻撃して、ライフ総量は26対11で殿堂顕彰者の優位となる。

「こりゃ面白い。《スフィンクスの啓示》はここにあって、そっちには大量のクリーチャーがいる」

 スタークは口笛をふいた。

 スタークは《スフィンクスの啓示》を6で唱え、ライフは17点になった。レヴィはゲームを一変させる《黄金夜の刃、ギセラ》を唱えた。これでスタークは《スラーグ牙》を《ボーラスの占い師》でチャンプ・ブロックしなければならなくなり、残りライフは5点となる。スタークは改めて《ボーラスの占い師》を出した。レヴィが攻撃すると、瞬速で唱えられた《修復の天使》が《ボーラスの占い師》を明滅させて《次元の浄化》が公開され、さらに《アゾリウスの魔除け》がスタークのライフが2点未満になるのを防いだ。戦闘後、レヴィの陣営には《修復の天使》と《スラーグ牙》が残り、スタークの側には《修復の天使》1体だけが残っていた。

「ほんとに面白いな」

 スタークは頭を振りながら繰り返す。

 スタークはアンタップし、《記憶の熟達者、ジェイス》を出すと、それを使ってレヴィのライブラリーの一番上にある《黄金夜の刃、ギセラ》を取り除く。2枚目の《修復の天使》が登場し、ブロック・クリーチャーの数が揃った。

「いじめるなよぉ! 終われるんだったらとっとと殺せ!」

 スタークは吠えた!

 レヴィは引いたカード《繁殖池》を使う前にじっくり考え、そして《スフィンクスの啓示》で大量に引こうとする。1マナを残していたスタークは、それを《払拭》でピタリと止めた。レヴィは手札も空になり、スタークの手札はほぼ満載。しかもそこには《次元の浄化》がある。レヴィは攻撃し、スタークは必要なだけブロックして《スラーグ牙》を殺した。《次元の浄化》が戦場を一掃してスタークの《記憶の熟達者、ジェイス》もいなくなると、スタークは再び同じプレインズウォーカーを呼び出した。

 スタークは《アクローマの記念碑》の与える能力を何度も確認し、困った顔を見せる。

「ああ、多分わかった」

 スタークは自分のターンにレヴィのライブラリーから10枚削り落とす。速攻クリーチャーに殺されることがないよう、スタークは《スフィンクスの啓示》を10で唱え、ライフを安全圏の12点まで引き上げる。レヴィは《熟慮》をフラッシュバックしてカードを引き、天に祈った。《ケンタウルスの癒し手》は充分なダメージを与えはしなかったが、スタークのライフは残り9点になった。《静穏の天使》が《ケンタウルスの癒し手》を除去して安全を確保する中、《記憶の熟達者、ジェイス》はレヴィのライブラリーを20枚未満に減らしていく。レヴィはカードを引き、「カウンターされませんように」と言って《魔女封じの宝珠》を唱えた。

「もちろん、ここに……カウンターはないんだ」

 スタークは手札を見つめながら答える。《魔女封じの宝珠》がギリギリで食い止めたように見えた。スタークがそれに対してできることは、《ネファリアの溺墓》を使ってレヴィのライブラリーを3枚削ることだけだった。スタークはさらに巨大クリーチャーを呼び出していく。2体目の《静穏の天使》が現れ、レヴィはクリーチャーを引くことが出来ない。スタークは《スフィンクスの啓示》でさらにライフを回復させ、14点に。強力な飛行クリーチャーの群れで攻撃すると、レヴィのライフは残り7点になった。最後の攻撃が解き放たれると、スタークは残りライフわずか2点の土俵際から蘇り、この最終ゲームを制したのだった。


激しいマッチの後で握手し、お互いの翌日の幸運を祈る2人

 マッチが終わり、両プレイヤーとも緊張を解いていた。

「ギリギリだったな。全力を尽くしたよ」

 スタークは言った。

 このマッチを勝った結果、この日の最終成績は10-1となった。

レヴィ 1-2 スターク


(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)

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