Quarterfinal

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山本 明聖(和歌山) vs. Jan Ruess(ドイツ)

もしも、あなたのまわりに、一緒にマジックをやってくれる友人がいるのなら、きっとそれは幸せなことだろう。

友人がいなければマジックはできず、そしてマジックが、友人を最高の友人にしてくれる。

もしも、あなたのまわりに、一緒にマジックをやれる友人がいないのなら、それでも嘆くことは無いだろう。

あなたが本当にマジックを楽しみたいと考えるのならば、行動を起こすだけでいい。

ともに幸せな時間を共有する仲間を求めて、声を上げよう、体を動かそう。

結果はあとから、ついてくる。

Game 1

先手のRuess、後手の山本が、ともに1ターン目に《風立ての高地/Windbrisk Heights》をセットしあう。

Ruessは、《白蘭の騎士/Knight of the White Orchid》をキャストし、クロックで先攻する。対して、山本は2枚目の《風立ての高地》で《復讐のアジャニ/Ajani Vengeant》を秘匿する。

Ruessの続くターンでの《白蘭の騎士》のアタックで山本のライフは18。そして、Ruessは《戦場の鍛冶場》をセットし、《モグの狂信者/Mogg Fanatic》をキャストした。

このマッチアップの重要なポイントのひとつといえるのは、いかに《風立ての高地》の秘匿を起動するか、もしくは起動させないか、にある。

そういう意味では、返しのターンで山本がキャストした《幽体の行列/Spectral Procession》は見た目以上のアドバンテージを与えてくれている。なにせ、1枚のカードでその条件を満たしてくれるのだから。

Ruessが《白蘭の騎士》と《モグの狂信者》でアタックすると、クリーチャーを3体維持したい山本としてはこれをスルーするしかない。山本のライフは15。

Ruessはは《白蘭の騎士》の2枚目を追加しつつ、《風立ての高地》の2枚目をセットする。これによって、起動条件・《風立ての高地》の枚数ともに山本に追いついた形にはなるが、しかし、先手をとられては意味が無いので、続く山本のターンの攻撃クリーチャー指定前にRuessは《モグの狂信者》をサクリファイスし、山本のトークンを2体に減らす。

これでRuessのライフは17。ライフレース的には不利だが、ここで山本が《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》をキャストしたことでアドバンテージを稼ぎはじめる。

この《イーオスのレインジャー》を山本のターンエンドに《流刑への道/Path to Exile》で除去すると、《目覚ましヒバリ/Reveillark》をキャストしてターン終了する。

この時点でRuessの墓地には《モグの狂信者》のみ。ならばと、《復讐のアジャニ》をキャストし、-2能力で《目覚ましヒバリ》へと《稲妻のらせん/Lightning Helix》。

《目覚ましヒバリ》が《モグの狂信者》にかわっただけで、3体のクリーチャー、つまり秘匿起動条件は維持したままのRuessに対して、《モグの狂信者》という回答を用意。Ruessは2体の《白蘭の騎士》で《復讐のアジャニ》へとアタックし、それを破壊するにとどめる。

そして、Ruessは2体目の《目覚ましヒバリ》をキャストする。

このマッチアップのキーの別の側面は、一方的に《神の怒り/Wrath of God》を持っている山本にどうRuessが対処するか、である。そういう意味では《目覚ましヒバリ》は十二分な回答である。なにせ、この状況で《神の怒り》がキャストされたならば、《白蘭の騎士》2体が再び場に戻ってくるのだから。

この時点で、すでに手札に《神の怒り》を持っている山本だが、今度は逆にこちらが《目覚ましヒバリ》への対抗策を用意しなければならない。山本は《白蘭の騎士》×2と《目覚ましヒバリ》によって達成されてしまう秘匿条件を解除することをあきらめ、《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》をキャストする。

Ruessは当然3体で攻撃し、秘匿条件を満たす。

パワー4のヒバリのみをスピリットトークンでブロックすると、《白蘭の騎士》2枚はスルーして、山本のライフは10。

そして、ついに2枚の《風立ての高地》が起動される。1枚目で呼び出された《白蘭の騎士》が用意した《平地》で2枚目を起動し、《イーオスのレインジャー》も場に追加。

この《イーオスのレインジャー》でサーチしてきた《モグの狂信者》2枚も場に追加すると、Ruessの軍勢は圧倒的なものとなった。この優位を維持するべく、実質的には2マナの《ショック/Shock》であるゴブリントークン2枚を《モグの狂信者》の能力で破壊する。

そして、さらなるアドバンテージを求めて3枚目の《風立ての高地》をセットする。

だが、しかし、山本は《包囲攻撃の司令官》の能力とキャストした《モグの狂信者》の能力で《目覚ましヒバリ》を破壊。ここで《目覚ましヒバリ》は《モグの狂信者》2体を場にもたらすが、ここで満を持して《神の怒り》。

一度まっさらになった場にお互いが《包囲攻撃の司令官》を送り込み、《包囲攻撃の司令官》に対してゴブリントークンを投げるという攻防が続く。

この攻防を先に仕掛けたが故に、Ruessの3体にたいして、山本のゴブリントークンは2体と差をつけられてしまう。Ruessは3体のトークンを送り込み、2体で相打ちする。さらに《イーオスのレインジャー》が《風立ての高地》から呼び出される。《イーオスのレインジャー》は2体の《運命の大立者》を呼び出す。

しかし、ここで満を持しての山本の《目覚ましヒバリ》。

この《目覚ましヒバリ》が8/8の《運命の大立者》をブロックし、破壊されたことで戻ってきた2枚の《包囲攻撃の司令官》が、1ターンでRuessの14点のライフを削りきったのだった。

山本 1-0 Ruess

山本 明聖(和歌山)が初めてマジックに出会ったのは、中学生の時だった。

ウルザブロックの頃にはじめ、そしてインベイジョンブロックの頃にマジックから離れた山本にとって、時のらせんというブロックが発売されるという噂は、非常に興味のあるものだった。

最初はプレリリースから、そして、地元の大会から、そのうちグランプリに。

山本は、徐々にトーナメントマジックへと参入していった。

Game 2

土地が5枚に《イーオスのレインジャー》《包囲攻撃の司令官》という初動4ターン目という手札をキープしたRuessは、3ターン連続で《風立ての高地》をセットする。

しかし、この間に山本も、1ターン目の《モグの狂信者》以上のアクションを起こすことができない。《モグの狂信者》をキャストするためには、1ターン目に《山》をセットしなければ無かったが、続いて引き当てたクロックが《白蘭の騎士》だったため、さらにターンが遅れてしまったのだ。

ここで《イーオスのレインジャー》をキャストするRuess。《運命の大立者》を2枚サーチし、続くターンに2枚ともキャストしたうえで、両方とも2/2へとする。

いったん《神の怒り》で場を平らにした山本だったが、Ruessも後続として《イーオスのレインジャー》をキャストし、サーチしてきた《ブレンタンの炉の世話人》と《運命の大立者》をキャストする。山本も《精神石/Mind Stone》経由で《イーオスのレインジャー》をキャストし、《運命の大立者》と《モグの狂信者》をキャストする。

この《モグの狂信者》を《運命の大立者》に対して発射し、それを《ブレンタンの炉の世話人》が押しとどめたことで、お互いの場に《イーオスのレインジャー》と《運命の大立者》が並ぶこととなった。

Ruessが《包囲攻撃の司令官》をキャスト、それに対して山本は《神の怒り》をキャストした上で、《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》をキャストし、トークンを生み出す。

こうして優位を築いたかに見えた山本だったのだが、Ruessの《目覚ましヒバリ》が想起され、《包囲攻撃の司令官》と《運命の大立者》が並んでしまうと、もう、そうも言ってられなくなってしまう。

《精神石》をサクリファイスし続けることで、なんとか回答策を求める山本だが、《復讐のアジャニ》を引き当てた時にはマナがすでに足りない。結局、虎の子として握り続けていた《苦悩火/Banefire》を《運命の大立者》に打ち込み、あとはRuessが序盤に立て続けにセットした《風立ての高地》に秘匿されたカードたちがハズレばかりだったことを祈るのみとなった。

Ruessは、トークンを2体と《包囲攻撃の司令官》を《遍歴の騎士、エルズペス》に、残る1体のトークンを山本へとアタックさせる。当然兵士トークンでのブロックをするそぶりを見せるのだが、Ruessそれを押しとどめて。まず1枚目の《風立ての高地》へと秘匿されたカードをプレイする。

その秘匿されたカード、《無秩序の点火/Ignite Disorder》は山本の兵士トークンをなぎ払い、山本のライフを16にするとともに、《遍歴の騎士、エルズペス》の忠誠カウンターを2つにする。

そして、続けざまに残るふたつの秘匿されし《包囲攻撃の司令官》と《目覚ましヒバリ》を公開する。

《包囲攻撃の司令官》がトークンを《遍歴の騎士、エルズペス》に突撃させ、忠誠カウンターは0になる。

《復讐のアジャニ》をキャストし、その能力で《目覚ましヒバリ》を打ち落とした山本だったが、《包囲攻撃の司令官》が、今度は山本のライフを1ターンで19点もけずりきったのだった。

山本 1-1 Ruess

朝、会場にあらわれた山本は、こう言った。

山本 「昨日はよく眠らせていただきました」

高度な思考ゲームであるマジック。脳を酷使するこのゲームだけに、睡眠時間の充実は勝負を分けると言ってもいいかもしれない。

ましてや、初めてのプロツアーで、トップ8に入賞した山本。緊張感は脳の疲労を加速させる。

それを考えれば、十分な睡眠をとるべきだ。

しかし、一方で、決勝ラウンドのマッチアップについても、十二分な練習と検討が必要だ。

たったの一晩という有限の時間の中で、この矛盾を解決する方法を、友人たちが提供してくれた。

練習は友人たちが朝の6時まででもやってくれた。

睡眠だけは代わりが効かないのだからと、山本を眠らせて。

Game 3

山本に配られた初手に、土地はゼロ枚。問答無用でマリガンをする。

続く手札にも、また土地はゼロ枚。

やっと、《反射池/Reflecting Pool》《山》という2枚の土地に、《モグの狂信者》《復讐のアジャニ》《包囲攻撃の司令官》という5枚の手札に巡り会えた山本。

自身のデッキを信じるなら、このタイミングしかない。

これをキープし、1ターン目に《モグの狂信者》をキャストする。

一方のRuessはマリガンはなく、1ターン目に《ブレンタンの炉の世話人》からスタートする。

山本は、土地を引かず、《反射池》を置いて、ターンを終了。幸い、Ruessに2ターン目のアクションはない。

続くターンの山本のドローは《ブレンタンの炉の世話人》だったのだが、前述の様に山本は白マナのでる土地を持っていないため、これを握りしめてターンを終了する。

すると、Ruessも山本につきあうかのように、2枚で土地がストップする。

それだけでも幸運であるというのに、山本は、まさにこのタイミングで3枚目の、しかも白マナを生み出す土地である《戦場の鍛冶場》をドローしたのだった。

土地を引かずに苦し紛れに《苦悩火》をX=1で《モグの狂信者》に打ち込むRuess。

そのまま、順調に土地を引き続ける山本に対して、Ruessは4ターンに渡って土地がストップしている。

ようやく土地を引き当て、そして《白蘭の騎士》で土地をサーチしだしたが、山本の《復讐のアジャニ》がその土地を縛り続けたのだった。

山本 2-1 Ruess

復帰し、トーナメントプレイヤーとして、マジックを楽しみはじめた山本だったが、ひとつ大きな問題があった。

山本の回りのトーナメントプレイヤーコミュニティは、決して大きなものとは言えないのだった。少なくとも、ブースタードラフトを行うために8人集まるなんて言うのは、夢のようなことだと山本は言う。

普段はネットで情報を集めて、脳内でデッキを回して。大会前一週間前にやっと、集まって、それでも少しできるか程度。

リミテッドにいたっては、PTQやGPTに遠征するのが、練習を兼ねるという。

それでも、山本は結果を残した。

昨年のGP岡山でトップ8に入賞し、プロツアー京都の権利を獲得した。

それでも、山本は幸せだった。

横井 正樹(和歌山)をはじめ、少数でも、一緒にマジックを続けてくれる仲間がいるのだから。

Game 4

4枚の土地に、《包囲攻撃の司令官》が2枚と《神の怒り》という手札をキープする山本。Game 3の初手に比べれば、天国のような手札だ。

しかも、1ターン目にRuessがキャストした《運命の大立者》を、トップデックの《モグの狂信者》で対処できるという順調さ。この勢いでトップ4進出なるか。

と思われた山本だったが、Ruessは、世界の壁の高さを山本に思い知らせる。

《白蘭の騎士》《幽体の行列》と展開したRuessは、続くターンに全軍でアタックし、山本のライフを12まで削る。そして、《風立ての高地》をセットすると、3マナ残した状態でターンを終了する。

Ruessのデックで、3マナと言えば。

わかっていても、山本には他に選択肢がない。ライフを守るために《神の怒り》をキャストする。

予定調和的に《確実性の欠落/Lapse of Certainty》されると、土地を初手から引いていない山本は続くターンにも土地がセットできず、結局2回目の《神の怒り》を打つ以外の選択肢がないのだった。

Ruessが秘匿したカードが《目覚ましヒバリ》だったことで、《神の怒り》がケアされ、残された手札が《苦悩火》だったことで、山本のターンは1ターン少なくなってしまったのだった。

山本 2-2 Ruess

山本 「めちゃくちゃ面白いですね。本当に貴重な体験ができたと思います」

初めてのプロツアーで、初めての日曜日。

その感想を山本は、こう語った。そして、こう続ける。

山本 「一回経験しちゃったら、もう、戻れないですね。ぜひとも、もう一回、って思っちゃいますよね」

今までは、関東以北への遠征など、ましてや飛行機を使った遠征など考えたこともなかったし、考えるつもりもなかった山本。

プロツアーホノルルには、スケジュールの都合さえあうのなら、参加する予定だという。

Game 5

土地が2枚に《イーオスのレインジャー》が2枚。《包囲攻撃の司令官》《目覚ましヒバリ》《幽体の行列》という初手を前に長考する。

この手札をキープするか否かが、山本が今日さらにマジックを続けられるかどうかを決定するのだ。

山本は、長考を、本当に長く長考した上で、この手札をマリガンする。

《風立ての高地》を含む土地が4枚に、《モグの狂信者》《幽体の行列》という手札に自身の運命を託すことに決定した山本。

1ターン目の《モグの狂信者》を《山》からキャストしてしまい、セットランドを戻そうとするが、Ruessに制される。

だが、2ターン目のドローが《精神石》だったため、結果オーライ的に2ターン目に《精神石》から3ターン目に《幽体の行列》をキャストする事に成功する。

山本 「あの1ターン目のセットランド、間違えてた無かったら2ターン目には《風立ての高地》置いていましたね」

山本の続くドローは《復讐のアジャニ》。2ターン目に《風立ての高地》をセットしていたならば、きっと秘匿されていたであろう、《復讐のアジャニ》。

この《復讐のアジャニ》がRuessの2体の《白蘭の騎士》を、そしてRuess土地を翻弄し続ける事で、常に優位にゲームを展開する山本。

Ruessが《復讐のアジャニ》をキャストし、対消滅させた次のターンには、山本の、スピリットトークンとゴブリントークンと、そして《包囲攻撃の司令官》が、やっぱり1ターンで、11点のライフを削ってくれたのだった。

山本 3-2 Ruess

もしも、あなたのまわりに、一緒にマジックをやってくれる友人がいるのなら、きっとそれは幸せなことだろう。

友人がいなければマジックはできず、そしてマジックが、友人を最高の友人にしてくれる。

もしも、あなたのまわりに、一緒にマジックをやれる友人がいないのなら、それでも嘆くことは無いだろう。

あなたが本当にマジックを楽しみたいと考えるのならば、行動を起こすだけでいい。

ともに幸せな時間を共有する仲間を求めて、声を上げよう、体を動かそう。

山本 「僕のいっている和歌山の「マナソース」っていうお店なんですけど、お店がせっかく広いのだから、もっと人がたくさん集まって欲しいって思います。きっと、ショップとかには来ないけど、マジックやってる人はもっともっと和歌山にはいると思ってるんです。だから、みんなで集まって、一緒にやりましょう!和歌山勢としてもりあがっていきましょう!」

せっかく、自分の声が大きく取り上げられるチャンスだからと、山本は、こう語った。

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