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山本 明聖(和歌山) vs. Gabriel Nassif(フランス)

棚橋 雅康(新潟)が準々決勝でLSVに敗れ、残った日本人は山本 明聖(和歌山)だけとなった。デッキ相性からの下馬評は、圧倒的不利。しかも、相手は古豪、Gabriel Nassif(フランス)だ。ここを超えたところに、おそらくはLSVが待っている。世界の壁が、プロツアー初出場の山本に容赦なく立ちはだかる。

Nassifからすると、久々のトップ戦線復帰と言えよう。本日のウェブキャスト解説を担当している鍛冶 友浩(東京)がプロツアーに定期参戦し始めた頃、ちょうどNassifは全盛期だった。鍛冶をして「美しいマジック」をすると評するNassifのマジックに、山本が挑む。

Game 1

先攻の山本。《風立ての高地/Windbrisk Heights》から、《白蘭の騎士/Knight of the White Orchid》を2枚立て続けにプレイし、Nassifは3枚目に置くべき土地をタップインにするかアンタップインにするかで考える。

《羽毛覆い/Plumeveil》を取るべきか、《謎めいた命令/Cryptic Command》を取るべきか......。結局前者を選んだNassifは《白蘭の騎士/Knight of the White Orchid》の1体を《羽毛覆い/Plumeveil》で受け止め、山本は《復讐のアジャニ/Ajani Vengeant》で返す。

《復讐のアジャニ/Ajani Vengeant》がNassifのマナを厳しく制限し、さらにトップデッキした《運命の大立者/Figure of Destiny》を加える山本。再び悩み始めるNassif。

Nassif 「Bounce......? Counter......? Bounce......?」

今、Nassifが置かれている状況は、場のクロックに対処すると共に、ストップしている土地の供給が急務。しかも《復讐のアジャニ/Ajani Vengeant》で土地が縛られている。結局、《謎めいた命令/Cryptic Command》で《運命の大立者/Figure of Destiny》をバウンスし、1ドローを選択。

これで、次のドローがアンタップランドなら《残酷な根本原理/Cruel Ultimatum》にたどり着くが、《復讐のアジャニ/Ajani Vengeant》が睨んでいてはそれもかなわない。しかも、今にも「一方的《ハルマゲドン/Armageddon》」の宣告が迫っている。

山本はさらに《目覚ましヒバリ/Reveillark》を追加。Nassifのプレイした《崇敬の壁/Wall of Reverence》めがけて《流刑への道/Path to Exile》を放ち、Nassifに待望の土地が手に入るが、ダメージで大きくライフを失う。

ついに《復讐のアジャニ/Ajani Vengeant》にカウンターが7個溜まった。しかし、Nassifはここまで引き付けて《火山の流弾/Volcanic Fallout》。《復讐のアジャニ/Ajani Vengeant》の忠誠度と共に《モグの狂信者/Mogg Fanatic》《白蘭の騎士/Knight of the White Orchid》を流し、続くターンにはようやく《残酷な根本原理/Cruel Ultimatum》に行き着いた。

しかし、山本は既に手札の多くを使い切っており、場には《目覚ましヒバリ/Reveillark》もいるので、《白蘭の騎士/Knight of the White Orchid》2枚が平地2枚をもたらしながら帰ってきた。効果のほどは今ひとつ。あとはトップデッキ勝負になった。

先に答えを見出したのは山本。《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》を引き当て、ターンエンド。ゲームの行方は、《残酷な根本原理/Cruel Ultimatum》で3枚引いているNassifが《火山の流弾/Volcanic Fallout》を引いていれば、Nassifの勝ち。無ければ山本の勝ちという、単純明快なもの。

Nassifはさらに、2枚《熟考漂い/Mulldrifter》を想起。

そのドローの結果は、2行ほど下に。

山本 -1 Nassif -0

Game 2

《復讐のアジャニ/Ajani Vengeant》の抑止力を存分に見せ付けた第1ゲーム。その勢いは続き、今回も《運命の大立者/Figure of Destiny》から軽やかに立ち上がる。

2ターン目は、《運命の大立者/Figure of Destiny》を強化しつつ《ブレンタンの炉の世話人/Burrenton Forge-Tender》という選択肢もあったが、後手で遅れている分、《精神石/Mind Stone》でマナブーストして、ハンドの《復讐のアジャニ/Ajani Vengeant》を早く展開してマナを縛りたいという、一貫した意思が読み取れる。

マナを伸ばしたのはもう1つ理由があり、《砕けた野望/Broken Ambitions》のケアだ。安全に《ブレンタンの炉の世話人/Burrenton Forge-Tender》をプレイし、《運命の大立者/Figure of Destiny》を強化。Nassifも《崇敬の壁/Wall of Reverence》で粘りこみ、山本はこのスキに《復讐のアジャニ/Ajani Vengeant》をプレイ。第1ゲームよろしく、マナの縛り込みに入った。

さらに、《風立ての高地/Windbrisk Heights》プレイから《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》で《運命の大立者/Figure of Destiny》と《炎族の先触れ/Flamekin Harbinger》を呼び込み、《目覚ましヒバリ/Reveillark》をトップに仕込む。これに、Nassifは《エスパーの魔除け/Esper Charm》や《熟考漂い/Mulldrifter》の想起連発でハンドを増やすが、表情は冴えない。

山本が《目覚ましヒバリ/Reveillark》をプレイしても、Nassifは動かない。押せ押せの山本は、《ブレンタンの炉の世話人/Burrenton Forge-Tender》を残して全軍をレッドゾーンへと送り込み、《運命の大立者/Figure of Destiny》は2度目の変身。

ほぼ追い詰めた、と思ったところに。ここまで力を溜めていたNassifが一気に動く。

《若き群れのドラゴン/Broodmate Dragon》を解き放って《崇敬の壁/Wall of Reverence》の回復量を上げ、さらに2枚目の《崇敬の壁/Wall of Reverence》をプレイ。山本もこれに呼応し、こちらも残してあった《風立ての高地/Windbrisk Heights》秘匿の《流刑への道/Path to Exile》で《崇敬の壁/Wall of Reverence》を排除。戦闘ダメージの残るドラゴン・トークンには、《復讐のアジャニ/Ajani Vengeant》が《稲妻のらせん/Lightning Helix》を浴びせる。

しかし、Nassifはまだ武器を隠し持っていた。

《火山の流弾/Volcanic Fallout》2連発。1枚は《ブレンタンの炉の世話人/Burrenton Forge-Tender》でかわすも、2枚目は避けられず、《復讐のアジャニ/Ajani Vengeant》ごとクリーチャー達が吹き飛ぶ。だが、山本の場には、まだ強化された《運命の大立者/Figure of Destiny》と《目覚ましヒバリ/Reveillark》がいる。

Nassifは《熟考漂い/Mulldrifter》から《天界の粛清/Celestial Purge》を《運命の大立者/Figure of Destiny》に浴びせ、《残酷な根本原理/Cruel Ultimatum》。山本は《目覚ましヒバリ/Reveillark》を贄に《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》と《炎族の先触れ/Flamekin Harbinger》を取り返し、新たな《目覚ましヒバリ/Reveillark》をトップへ。Nassifは《若き群れのドラゴン/Broodmate Dragon》を回収した。

山本の《目覚ましヒバリ/Reveillark》供給ラインは絶たれていない。ヒバリの積まれたライブラリーに手を伸ばした時、Nassifはすでに青黒白の3色のマナを用意していた。

Nassif 「Two Discards」

あまりに強烈な《エスパーの魔除け/Esper Charm》。

赤白の循環が止まり、こうなるとGAPPOは消耗していくのみ。逆にNassifは自分の時間が来たことで攻めに転じる。しかし、山本の場にはまだ大量のマナにバックアップされた《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》とゴブリン・トークンが残っている。《若き群れのドラゴン/Broodmate Dragon》を砲撃で葬り去ろうと動いた最後に待っていたものは

Nassif 「Bounce......」

という、Nassifの一言。

《謎めいた命令/Cryptic Command》がドラゴンを呼び戻し、戦力として蘇る。再び、トークンを伴って。この後も連続で《幽体の行列/Spectral Procession》を引き込んで粘りこみを見せる山本だったが、《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》が《砕けた野望/Broken Ambitions》の前に屈すると、カードを片付け始めた。

ここまでで、90分が経過。タフな戦いになってきた。

山本 -1 Nassif -1

Game 3

マリガンスタートから、《平地/Plains》《反射池/Reflecting Pool》《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》《目覚ましヒバリ/Reveillark》《幽体の行列/Spectral Procession》《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》というハンドをキープ。《山/Mountain》を引いたものの白3マナは揃わず、トップした《運命の大立者/Figure of Destiny》を3ターン目に送り込むという、スローな立ち上がり。

この序盤は、Nassifに《エスパーの魔除け/Esper Charm》によるドローと《恐怖/Terror》を打ち込む時間を許し、《精神石/Mind Stone》でたどり着いた4マナで《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》をプレイするも、これには《砕けた野望/Broken Ambitions》。

山本は5マナ目を引き当て、《目覚ましヒバリ/Reveillark》をプレイ。Nassifは墓地を確認すると「OK」とジェスチャーで応え、ターンを受け取る。つまり《残酷な根本原理/Cruel Ultimatum》の時間だ。

《神の怒り/Wrath of God》まで用意して磐石のNassif。さらに《若き群れのドラゴン/Broodmate Dragon》で追い打ちをかける。山本もドラゴンへ《流刑への道/Path to Exile》を放ち、《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》をプレイ。Nassifはこれを許さじと《砕けた野望/Broken Ambitions》で打ち消し、ならばと《風立ての高地/Windbrisk Heights》《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》と並べ立て、山本はトップデッキの連続で猛反撃に出る。

しかし、Nassifは《熟考漂い/Mulldrifter》からの《真髄の針/Pithing Needle》で《風立ての高地/Windbrisk Heights》を指定。

ついに、山本の足が止まった。

《苦悩火/Banefire》を引き当てるも、どう計算してもNassif本体を焼き切るには足りない。スピリットトークンで耐えるものの、最後は《熟考漂い/Mulldrifter》を止めきれず、力尽きた。

山本 -1 Nassif -2

Game 4

《白蘭の騎士/Knight of the White Orchid》《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》《目覚ましヒバリ/Reveillark》に土地4枚。負ければそこで、試合終了という場面で、厳しい選択を迫られた山本。

結局マリガンを選択し、《炎族の先触れ/Flamekin Harbinger》《苦悩火/Banefire》《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》《精神石/Mind Stone》に土地2枚。好転した。

《炎族の先触れ/Flamekin Harbinger》で何も探さず、マナの伸びに期待すると、しっかりと土地を引き込み、1/1ビートを敢行。さらに、《砕けた野望/Broken Ambitions》をかわす為に1ターン待って、万全の状態で《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》をプレイ。

しかし、待っていたのは《霊魂放逐/Remove Soul》。

あとは、山本は引いても引いても土地ばかり。戦力は1ターン目に出した「《さまようもの/Wandering Ones》」のみ。そしてNassifの6ターン目には《若き群れのドラゴン/Broodmate Dragon》。

山本の最後の抵抗は《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》。当然、Nassifはお構い無しに本体へと攻め込む。最終的には、有り余るマナから《苦悩火/Banefire》を打ち込んでも届かない。

山本 「《苦悩火/Banefire》を.........」

自らに向けてアピールし、最後は笑顔で手を差し出した。実に、2時間を越える長丁場を戦い抜いた両者に、まずは健闘を称えよう。そして、勝利したNassifへは祝福を。山本は、この経験を糧に次回のPTホノルルでのリベンジに期待しよう。

この結果、サンデーから日本勢は姿を消し、決勝はLSVとNassifとの間で行われることとなった。大方の「予想通り」となった決勝の顔合わせ。果たして、LSVのプロツアー2連勝か? はたまた、去年のPT開幕戦、Jon Finkel(アメリカ)が復活勝利を飾ったように、今年も古豪復活で幕を開けるのか?

答えは、すぐそこにある。

Gabriel Nassif advanced to Finals

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