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特集:ワールド・マジック・カップへの知られざる道

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 ワールド・マジック・カップのために世界最高峰のプレイヤーが集まっている。どのチームが優勝するにせよ、その栄誉は空前のものだ。

 しかしながら、その栄冠を手にする前に、まず会場にたどり着かなければならない。ワールド・マジック・カップはジェンコン・インディアナポリスで開催されており、プレイヤーは先週中に会場に入り、中西部名物のビーフに舌鼓を打ったり調整を重ねたりしている。


ジェンコン・インディでのワールド・マジック・カップ

 殿堂顕彰者にして応援団長の中村修平とともに、日本代表チームは木曜日に到着する予定となっていた。渡辺雄也、高橋優太はプロツアー参加経験があるが、今回のチームメイトである田中陽と中井直の2人は今回の渡米が初の大舞台だった。

 日本代表チームは、ワシントンDCで乗り換え、インディアナポリスに着く予定だったが、東京での1時間の遅れとワシントンでの通関の遅れが重なって乗り継ぎに失敗してしまったのだ。

 木曜の午後、日本代表チームはあと900キロを突っ切って会場に着かなければならなくなってしまった。飛行機の順番待ちに名前は書いたものの、用意できる座席数は少なく、乗りたがっている人は多かった。日本代表チームは他の手段を探すことにした。

 ここで、世界一周のなかしゅーこと中村修平。グランプリ遍歴の経験を活かし、中村は仲間にアドバイスを与えた。プランBは中村が自らを犠牲にするものだった。つまり、国際免許証を持っている中村が車を借り、900キロを走破するというのだ。グーグルマップがあるから、時間内に到着することはできそうだ。

 このとき、中村の電話が鳴った。フライトデスクから、彼の席が取れたとの連絡だ。航空会社の利用回数が多い中村が、順番待ちリストの中で優先されるのは想像できることだった。しかし、それは日本代表チームにとって理想的な知らせではなかった。中村はその権利を他の同行者に譲ろうとしたが、それは認められなかったのだ。できるのは、その飛行機で中村がインディアナポリスに行くか、行かないかの二択だけであった。

 プランCを検討するべきだ。マジックのイベントでに日本人が結果を残すための最善の努力をしなければ。中村はポケットからUSドルの札束を取り出し、それをチームメイトに手渡した。一足先に会場に入り、ホテルのチェックインを済ませ、必要なカードを集めることにしたのだ。チームメイトはタクシーを捕まえ、そして会場に向かってもらうという計画を立てた。

 タクシーのドライバーなら誰でも900キロ走れるというわけではないが、その報酬を考えたら受けてくれる人も多いだろう。グーグルマップによると、ドライブにかかる時間は9時間59分。そのドライバーは、トイレ休憩やガソリン補給の時間をいれて10時間で走り抜けてくれた。1000ドル以上のタクシー料金(実際は1400ドル)を受け取ったのは初めてだったという。言語障壁もあり、会話が弾んだわけではないが、それだけの料金を手にしたのだからドライバーも喜んでくれたと思っている。


日本代表チームの凱旋到着

 日本代表チームのメンバーは伝説に残るような旅路のあと、ほんの数時間の睡眠しか取れなかった。しかし彼らはイベントに間違いなく現れたのだ。災難を乗り越えて会場に現れた彼らは、勝利というものに飢えていた。それに、かかったコストを取り戻さなければならない。

 一方、イングランド代表はインディアナポリス市内のホテルからタクシーを拾いそこね、危うく遅刻するところだった。国別代表のプライドがあれば、少しぐらいの無茶はどうとでもなるものなのだろう。(編訳注:筆者はイングランド在住。)


(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)

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