Jelger Wiegersma (NLD) vs. Yuuya Watanabe (JPN)

Round 2: 花の蜜は甘いとは限らない

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ちょっとしたタイトル・マッチとも思える試合です。渡辺 雄也は昨年度の新人賞獲得選手で、今年の日本代表チームのメンバーでもあります。彼はそのマジック歴の早いうちから素晴らしい成績をおさめている若手の一人でしょう。一方、その点では、対戦相手に関しては何も言うことはありません。イェルガー・ ウィグラーズマはこの10年来で最も堅実にマジックで成績を残している選手です。もしも、どこかのトーナメントでイェルガー選手の姿がTop16以内にみられなかったとしたら、それは彼が参加していないからですよ。もう、これは伝説級でしょう。

この大会はイェルガー選手にとって記念すべきイベントでもあります。その飛びぬけて優秀で堅実な年月が同輩たちにも認められ、投票の結果、見事2008年度の殿堂入り選手となったのです。お洒落な縦縞スーツ姿で祝典セレモニーに参加した姿は、そこらのTVキャスターなどよりも立派に見えましたよ。

Game 1

去年の新人賞獲得の渡辺 雄也選手、対するは殿堂入りを果たしたばかりのイェルガー・ ウィグラーズマ選手

イェルガーがダイスロールに負け、初手も6枚にせざるを得なくなったところを見ると、マジックの神さまはあまりファッションに興味がなさそうです。ひょっとしたら、そのセンスが羨ましくなってハンデをつけたのかもしれませんけどね。初手には一枚しか土地がありませんでしたが、デッキは2マナを用意させてくれて、渡辺の3ターン目の《ウーナの末裔/Scion of Oona》は無事に《霊魂放逐/Remove Soul》、続くターン終了時の《呪文づまりのスプライト/Spellstutter Sprite》も同様に打ち消します。それでも渡辺は隙を見つけて二枚目の《ウーナの末裔/Scion of Oona》を滑り込ませて、ビートダウンを開始しました。

小さなフェアリーがライフを削るのを気にせずに、イェルガーは渡辺のターンに《エスパーの魔除け/Esper Charm》でカードを引きます。《紅蓮地獄/Pyroclasm》と小うるさい飛行クリーチャーとを交換したあとは、お互いにドローとディスカードと失笑の繰り返しとなりました。こんな『ドロー・ゴー』もありなのでしょうね。

そんななかイェルガーは《エスパーの魔除け/Esper Charm》で渡部に2枚ディスカードさせましたが、手札は単体除去ばかりで、攻めに転じることができません。どちらもクリーチャー不足の様子です。ようやくイェルガーが《熟考漂い/Mulldrifter》で仕掛けるも、渡辺は《謎めいた命令/Cryptic Command》で対応し、相手の土地がタップしている隙に《苦花/Bitterblossom》を場に出しました。イェルガーの《霊魂放逐/Remove Soul》が効かない唯一の攻め手です。

さて、トークンでアタックする時間の始まりです。イェルガーは《雲打ち/Cloudthresher》を試しますが、渡辺は次の《謎めいた命令/Cryptic Command》を持っていて、まず1点のダメージが入りました。次は渡辺のアップキープに、トークンが場に出てからお伺いをたてます。

《謎めいた命令/Cryptic Command》は切らしていましたが、X=4の《砕けた野望/Broken Ambitions》で止めようとする渡辺。《霊魂放逐/Remove Soul》の相方の《否認/Negate》を引いていたイェルガー、無理やりに巨大なエレメンタルを通しました。

渡辺は《思考囲い/Thoughtseize》で《残酷な根本原理/Cruel Ultimatum》を落とします。《ジャンドの魔除け/Jund Charm》、2枚の《霊魂放逐/Remove Soul》、《糾弾/Condemn》が手札に残りました。これで渡辺のライフは14となり、《雲打ち/Cloudthresher》のアタックでさらに半分になってしまいました。次のイェルガーのターンに《霧縛りの徒党/Mistbind Clique》をプレイしますが、これは見ている《霊魂放逐/Remove Soul》で打ち消されただけでした。トークンでチャンプブロックを続けますが、残り少ないライフが1点ずつ減っていくばかりです。

さらに渡辺はブロックしたトークンの覇権を試みますが、《霧縛りの徒党/Mistbind Clique》はイェルガーの手札に残った《霊魂放逐/Remove Soul》を無くすのみです。イェルガーは《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》を加え、とどめをさしにかかります。

さらなる《霧縛りの徒党/Mistbind Clique》がようやく《苦花/Bitterblossom》を安全な場所に追いやりましたが、いずれにせよ渡辺はブロックしないといけないのだからと、イェルガーは強気にアタックします。《変わり谷/Mutavault》と《フェアリーの集会場/Faerie Conclave》を起動して、両方とも《雲打ち/Cloudthresher》の前に出し、渡辺は《苦悶のねじれ/Agony Warp》をプレイしました。それぞれのカードが墓地に行き、これで渡辺は相手のライフを意識する余裕ができました。ライフを2に減らしながら《思考囲い/Thoughtseize》をプレイして、《エスパーの魔除け/Esper Charm》を選びます。《残酷な根本原理/Cruel Ultimatum》、《ジャンドの魔除け/Jund Charm》、《糾弾/Condemn》が残りました。

イェルガーは攻め続け、《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》に《ジャンドの魔除け/Jund Charm》を使って渡辺の《霧縛りの徒党/Mistbind Clique》を倒すと、《苦花/Bitterblossom》が場に戻ってしまいました。2ターンの猶予がありましたが、渡辺は何もできませんでした。

イェルガー・ ウィグラーズマ 1- 0 渡辺 雄也

ゲームの序盤に攻め手を用意できなかった渡辺、おかげで6枚の初手でも勝てたイェルガー・ ウィグラーズマでした。デッキの《霊魂放逐/Remove Soul》を引ききったのもなんのその、ですね。

Game 2

渡辺 雄也をご存じないのですか!?

イェルガー・ ウィグラーズマが初手を取った時に筆者に見えたのは、5色デッキの重要参考人と呼べるカードばかりでした。《火の灯る茂み/Fire-Lit Thicket》、《鮮烈な》土地が何枚か、《苦花/Bitterblossom》・・・はて、《苦花/Bitterblossom》?確かに、毎ターン飛行トークンを生み出すエンチャントに対抗するには、同じく毎ターン飛行トークンを生み出すエンチャントなのでしょうけど。《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》でライフ面を補うのも、プランとしては悪くなさそうです。

渡辺の立ち上がりは強力でした。2ターン目に《苦花/Bitterblossom》、それに《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》が続きます。コントロールデッキ相手の《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》は本当に強力で、直接ダメージを与える手段が少ないために、なかなか除去されません。渡辺はさらに4ターン目にトークンを《霧縛りの徒党/Mistbind Clique》に変えてWiegersmaを追い詰めます。
対抗してWiegersmaは戦闘ダメージの後に《雲打ち/Cloudthresher》を想起し、《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》にも2点を与えて場と一緒に流します。《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》とトークンのやり取りののち、場はほぼ均衡しました。

そんな場で渡辺に与えられたのは《くぐつ師の徒党/Puppeteer Clique》ですが、このカードが信じ難いスタックの連鎖を作り出します。Wiegersmaはその《霊魂を放逐》しようとし、対して渡辺が《呪文づまりのスプライト/Spellstutter Sprite》で止めようとします。クリーチャー呪文は解決されますが、能力の解決の前にWiegersmaが《ジャンドの魔除け/Jund Charm》で《苦花/Bitterblossom》を残して場をきれいにしてしまうと、能力は打ち消されて、《くぐつ師の徒党/Puppeteer Clique》はくずかご行きとなりました。

Wiegersmaは《熟考漂い/Mulldrifter》で、先ほどのやり取りで失った手札を補充します。しかし渡辺はその隙を逃さずに2枚目の《くぐつ師の徒党/Puppeteer Clique》で《雲打ち/Cloudthresher》を奪ったのでした。《雲打ち/Cloudthresher》の能力で場を流し、頑強の《くぐつ師の徒党/Puppeteer Clique》で今度は《熟考漂い/Mulldrifter》を場に戻して手札を補充し、全軍で攻撃をしかけたら、Wiegersmaの残りライフは3となりました。Wiegersmaは《エスパーの魔除け/Esper Charm》でちょっとだけデッキを掘り進めましたが、何も見つからなかったようです。そうして、渡辺は、フェアリー使いなら誰もが望む、相手の『《苦花》死』を見届けたのでした。

渡辺 雄也 1 - 1 イェルガー・ ウィグラーズマ

渡辺の立ち上がりはほぼ理想的だったと言えるでしょう。相手が《否認/Negate》できる前に《苦花/Bitterblossom》をプレイできていますし、《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》もうまいこと使えていますしね。

Game 3

カードの上のダイス。トースト使いはサイコロが無いと落ち着かないらしいですよ

渡辺は今回も《思考囲い/Thoughtseize》と好スタート、イェルガーが2枚目の土地を置く前に《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》を奪い、《ジャンドの魔除け/Jund Charm》や《霊魂放逐/Remove Soul》などを残しました。安全を確認したうえで、再び《苦花/Bitterblossom》を場に出します。次々とトークンが生まれ、攻勢を掛け始めました。2ターン後にイェルガーも同じカードを引き当てましたが、もう手遅れで、トークンの数で追いつく前にライフが無くなってしまいそうです。《苦花/Bitterblossom》の前に《ジャンドの魔除け/Jund Charm》で場を流すだけでは充分とは言えません。イェルガーはもう一回だけ耐えてライフが8点になりました。次のアタック時に《ジャンドの魔除け/Jund Charm》でリセットを図ると、渡辺が《謎めいた命令/Cryptic Command》で対応してきたので、それを《否認/Negate》で打ち消しました。

ですが今やイェルガーは前門のトークン、後門のライフと追い詰められています。加えて渡辺は《変わり谷/Mutavault》と《フェアリーの集会場/Faerie Conclave》が場に出ていて、《ジャンドの魔除け/Jund Charm》で討ち取るしかありません。《変わり谷/Mutavault》のアタックでドイツの殿堂プレイヤーのライフは4点に、渡辺はさらにイェルガーのアップキープに《霧縛りの徒党/Mistbind Clique》で2マナと《霊魂放逐/Remove Soul》を使わせます。トークンで土地のアタックをチャンプブロックするだけのイェルガーは、もはや《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》を引いても時間稼ぎにしかならず、最後のドローも解決となりませんでした。

渡辺 雄也 2 - 1 イェルガー・ ウィグラーズマ

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