藤田 修 vs. Kamiel Cornelissen

準々決勝

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 日本勢、プレミアイベント五回連続最終日進出。さらりと書くが一昔前の状況を知っているプレイヤーなら、これがどれだけ凄い事かお解り頂けると思う。このアムステルダムの地で連続進出記録を増やしたのは、最近その安定した成績ぶりから「世界のイチロー」と呼ばれる藤田修だ。
 藤田のここ最近の活躍はご存知の通り。日本選手権で準優勝すると、世界選手権では後一歩という 14 位。そして今回のトップ 8 だ。

 ここに至るまでの道程は決して容易では無かった。三回目のドラフトが終わった後、藤田は「このデッキはきつい」と苦笑しながら語っていた。だが運もあり、なんとかそのドラフトを二勝一敗で乗り切る。その後は、四回目のドラフトを二番卓、最終ドラフトを世界最高の濃さと評された一番卓で。その全てを藤田はいつも通りのプレイで、冷静に、眼光鋭く戦い抜いた。

 未だ日本人が手にしていない優勝トロフィー。最高の栄誉を賭けた戦いが始まる。

Game 1
 
 後手の Kamiel は《黄鉄の呪文爆弾/Pyrite Spellbomb》から。藤田は《銀のマイア/Silver Myr》から。親和系デッキを構築した藤田

 《ゴブリンの飛行艇/Goblin Dirigible》をディスカードするはめに。しかし、Kamiel の表情に変化は無い。

 藤田はマイアの力を借り《屍賊の金切り魔/Nim Shrieker》を召還すると、《上天の呪文爆弾/AEther Spellbomb》を置く以外行動が取れなかった Kamiel を目にしながら《記憶の仮面/Mask of Memory》を出し装着する。

 方や事故。方や1ターンに三枚引いて二枚を選ぶ。その差は圧倒的だ。藤田はそこからさらに《金属ガエル/Frogmite》を追加した。

 ようやく二枚目の土地を発見した Kamiel は《ニューロックの使い魔/Neurok Familiar》を召還。めくれた《ゴブリンの戦闘車/Goblin War Wagon》を手札に加え、ディスカード分を相殺する事に成功する。しかし、依然として展開能力には途方も無い差が有る。なんとか埋める技があるのだろうか。

 藤田は冷静に仮面を《金属ガエル/Frogmite》に付け替え、更なるカードを。
 
 Kamiel は《浄火の板金鎧/Empyrial Plate》をセットし、なんとか空のブロック網を構築しようと試みるが…

 丁度 7 マナに達した藤田は、《加工/Fabricate》を使用しマナの無い Kamiel へ必殺の《水晶の破片/Crystal Shard》を手に入れる。《水晶の破片/Crystal Shard》がただ一匹空を守っていた《ニューロックの使い魔/Neurok Familiar》を手札に戻すと、突入時期を伺っていた三匹の航空戦力が一気に襲いかかる。

 Kamiel どうする術も無く投了。
 
藤田 1 - Kamiel 0

Game 2

 再び 1 ターン目に土地をタップする Kamiel 。だが今回出したのは先ほどの《黄鉄の呪文爆弾/Pyrite Spellbomb》とは違い、着実に藤田にプレッシャーを与える《ヴィリジアンの長弓/Viridian Longbow》だ。
 マイアやアーティファクトランドを駆使しながら展開を早める親和系デッキにとって、マイアを封じ込められる意義は大きい。藤田は一応土地が無い可能性にかけ、《銀のマイア/Silver Myr》を召還するが、3 マナを揃えた Kamiel はすぐにこれを抹殺。

 だが、ならばと藤田は作戦を変えた。小憎たらしい《ヴィリジアンの長弓/Viridian Longbow》に対して、《秘宝の破滅/Relic Bane》を使用。絡めてを使用しダメージレースでの優位を選択する。

 毎ターン2点のダメージを背負ってしまった Kamiel 。《秘宝の破滅/Relic Bane》を上回る攻撃力を用意しなければならなくなってしまった。そこでまず Kamiel は《浄火の板金鎧/Empyrial Plate》を設置し、《ニューロックの使い魔/Neurok Familiar》に装着させようと計画する。手札が多い序盤に登場したこれは、真に危険だ。

 だが、藤田はそれに対応する手札を用意していた。冷静に《水晶の破片/Crystal Shard》を設置すると、マナの無くなった Kamiel の使い魔を手札へ戻す。

 再び《秘宝の破滅/Relic Bane》が Kamiel の頭蓋骨をきりりと蝕む。《水晶の破片/Crystal Shard》を前にした Kamiel はマナを残して展開する以外選択肢が無い。2マナを余したまま《ニューロックの使い魔/Neurok Familiar》を再召還する。

 この隙を利用し、藤田は《加工/Fabricate》から《錆胞子の羊/Rustspore Ram》を入手。《浄火の板金鎧/Empyrial Plate》を装着するなら装着していいよという構えだ。

 マナを残しながらクリーチャーを増やさねばならない Kamiel 。《ゴブリンの戦闘車/Goblin War Wagon》を召還するが、アンタップにマナが必要な戦車ではとてもベストの引きとは言えない。

 逆に藤田は先ほど入手した《錆胞子の羊/Rustspore Ram》で《浄火の板金鎧/Empyrial Plate》を破壊する予定通りの行動。既に《水晶の破片/Crystal Shard》は設置済み。どちらかが何らかの手段で破壊sれないかぎり、Kamiel は装備品に頼る事が出来ない。

 仕方なく《稲妻のすね当て/Lightning Greaves》と《ゴブリンの戦闘車/Goblin War Wagon》を出し、装着することで 1 ターンの保険をかけた Kamiel 。

 更に藤田はここで必要となる太い生物を引き当てた。それも最高級の。《磁石マイア/Lodestone Myr》だ。既に藤田の場には 4 枚のアーティファクトが並んでいる。しかも、横にあるのはマナを残した《水晶の破片/Crystal Shard》だ。

 ドラフト中、対戦する事になる藤田のシステムカードを確認しながら、二枚の《解体/Deconstruct》をピックしていた Kamiel だが、全く対策カードを引く事が出来ない。なんとか次に登場しそうになった《骸骨の破片/Skeleton Shard》こそ《無効/Annul》で叩き落とすものの、今必要なのは《水晶の破片/Crystal Shard》を破壊するカード。それも連続でトップデッキを続けなければならない。

 表情にその厳しさを一切表さず、淡々とプレイする Kamiel もさすがだが、引けない物はどうしようもない。結局、藤田は手札に《マイアの回収者/Myr Retriever》を残す余裕を持ちながら Kamiel を連続で粉砕する。Kamiel は早くも後が無くなった。

藤田 2 - Kamiel 0

Game 3

 ここまで全開モードで走り続けた藤田だが、今回の手札は若干盛り上がりに欠けるものだった。先ほどの功労者である《秘宝の破滅/Relic Bane》があるのはいいが、初手にあるのは青マナソースのみ。また《マイアの回収者/Myr Retriever》も墓地に何かがあって初めて意味があるわけで。

 だが、マリガンするほどでも無い。藤田はキープする。
 
 Kamiel は《金のマイア/Gold Myr》から《浄火の板金鎧/Empyrial Plate》に繋げる抜群の展開。先ほどまでは藤田の《水晶の破片/Crystal Shard》によって完封されてしまっていたが、そうそう一枚のカードを引けるわけでは無い。

 一気にターン制限をつけられてしまった藤田。《ニューロックの使い魔/Neurok Familiar》から《ヨーティアの兵/Yotian Soldier》と悪くは無い流れだが、いかんせん相手のサイズが違い過ぎる。まずは、《浄火の板金鎧/Empyrial Plate》を付けた極太マイアの攻撃により、ライフが 14 に。Kamiel が展開しないまま終わると、《上天の呪文爆弾/AEther Spellbomb》と《マイアの回収者/Myr Retriever》を出し、更にもう一度、極太マイアに殴られる。残されたライフは早くも 7。

 Kamiel は《ゴブリンの戦闘車/Goblin War Wagon》を追加。藤田も《屍賊の金切り魔/Nim Shrieker》を追加。

 ここで藤田は殴ってきた《金のマイア/Gold Myr》を一度《上天の呪文爆弾/AEther Spellbomb》で戻し体勢を整える事を選択する。しかし、何かしら《浄火の板金鎧/Empyrial Plate》を引き当てない事には未来が無い。

 戻された Kamiel はクリーチャー数の増えてきた藤田を見ながら、ここで一旦展開させる事に。
 
 《稲妻のすね当て/Lightning Greaves》を出してから《金のマイア/Gold Myr》を場に戻すと、このマイアに《稲妻のすね当て/Lightning Greaves》を装着。マナを引き出し《ニューロックの使い魔/Neurok Familiar》を出す。と、これが《ゴブリンの飛行艇/Goblin Dirigible》を Kamiel に。卓上の流れが Kamiel に傾き出す。

 藤田も《秘宝の破滅/Relic Bane》を Kamiel のアーティファクトランドに付け、ダメージ源を確保するものの、引くのはシステム要素の無いクリーチャーばかりだ。

 逆に Kamiel は《ゴブリンの飛行艇/Goblin Dirigible》を出し《稲妻のすね当て/Lightning Greaves》を装着する完璧な体勢。後は攻撃指令を出すのみだ。

 だが、藤田はここで後先顧みない攻勢に出た。手札から《金属ガエル/Frogmite》《マイアの処罰者/Myr Enforcer》と連続で召還すると、《ゴブリンの飛行艇/Goblin Dirigible》の脇にふわりと漂っていた《ニューロックの使い魔/Neurok Familiar》に《恐怖/Terror》をぶち込む。

 これで Kamiel の場にいる飛行生物は《ゴブリンの飛行艇/Goblin Dirigible》のみ。そこにパワーを 5 まで上昇させた《屍賊の金切り魔/Nim Shrieker》が襲いかかる。

 《秘宝の破滅/Relic Bane》により毎ターンライフを失う Kamiel 、これを本体に通すを良しとせず、《ゴブリンの飛行艇/Goblin Dirigible》による相打ちを。

 手札の全てを使い切った藤田。対して Kamiel は未だ二枚の手札を有する。クリーチャー数では藤田が上回っており、《秘宝の破滅/Relic Bane》を併せて考えると、Kamiel からの揺り戻しが無ければ、といった状況だ。

 だが、Kamiel はここで軍勢のほぼ全てがアーティファクトである藤田に対し、非常に有効な《テル=ジラードの射手/Tel-Jilad Archers》を支援に送る事に成功した。これで藤田の行動には大きな枷がかけられる。

 さらに、怖れていた生物が。《トゲ撃ちゴブリン/Spikeshot Goblin》が登場すると、《浄火の板金鎧/Empyrial Plate》と《稲妻のすね当て/Lightning Greaves》を一気にその身に纏い、4 点の無敵砲台へと変身する。このターンこそ赤マナが足りず放射出来ないものの、藤田の未来は真っ暗闇。

 このハードルは余りに高すぎた。Kamiel が一本を取り返す。
 
藤田 2 - Kamiel 1

Game 4

 静かにゲームは始まる。Kamiel が《上天の呪文爆弾/AEther Spellbomb》を、藤田は《銀のマイア/Silver Myr》を。

 異変もまた静かに始まっていた。 3 ターン目、藤田は土地を引けずにいたのだ。もし藤田のマイアが除去されていたなら、ゲームはこの後とは全く違った展開となっていたはずである。

 だが、マイアは生き延びた。二体目のマイアが登場すると、その二体は《厳粛な空護り/Somber Hoverguard》を産み出した。

 Kamiel の展開もそう悪いものでは無い。《ニューロックのスパイ/Neurok Spy》から《ゴブリンの模造品/Goblin Replica》。そして藤田の《ウィザードの模造品/Wizard Replica》を《無効/Annul》。一度マリガンしたとは思えない流れだ。

 藤田は残されたマナで《金属ガエル/Frogmite》を追加。《ゴブリンの模造品/Goblin Replica》の攻撃をこれが受け、ダメージスタックの後に《上天の呪文爆弾/AEther Spellbomb》が起動。《ゴブリンの模造品/Goblin Replica》は主の手札に戻り、代わりに《ゴブリンの戦闘車/Goblin War Wagon》が場に出現する。

 藤田もここでようやく待望の黒マナソースを引く。沼をセットすると、《ニューロックのスパイ/Neurok Spy》に《恐怖/Terror》を放ち、《加工/Fabricate》で《水晶の破片/Crystal Shard》を入手する。

 《ゴブリンの戦闘車/Goblin War Wagon》が一度攻撃をした次のターン、Kamiel が《トゲ撃ちゴブリン/Spikeshot Goblin》を引き当て、ゲームの展開が一気に加速する。藤田の場にはタフネスのマイアが二体並んでいる。未だ土地数の少ない藤田は展開を急ぐ必要がある。

 藤田は《マイアの処罰者/Myr Enforcer》を追加。Kamiel は《ゴブリンの模造品/Goblin Replica》を召還し、その攻撃に備える。

 藤田は入手しておいた《水晶の破片/Crystal Shard》を出してから《マイアの処罰者/Myr Enforcer》で攻撃する。待ち受ける Kamiel の場には《ゴブリンの模造品/Goblin Replica》《ゴブリンの戦闘車/Goblin War Wagon》と召還酔いから目覚めた《トゲ撃ちゴブリン/Spikeshot Goblin》。

 君ならどうする?
 
 藤田の場に《水晶の破片/Crystal Shard》、寝ている二体のマイア、《厳粛な空護り/Somber Hoverguard》と並んでいる。Kamiel はいつも通りの様子でただ静かに《ゴブリンの戦闘車/Goblin War Wagon》でのブロックを宣言する。

 ダメージがスタックに乗る。《ゴブリンの戦闘車/Goblin War Wagon》の三点が《マイアの処罰者/Myr Enforcer》に。残り一点分を介錯するべく、《トゲ撃ちゴブリン/Spikeshot Goblin》が起動する。

 藤田が動いた。アーティファクトが十分にある事を示しながら、《チス=ゴリアの鱗/Scale of Chiss-Goria》を場に出す。必殺であったはずの《トゲ撃ちゴブリン/Spikeshot Goblin》が繰り出す炎は確かに《マイアの処罰者/Myr Enforcer》の身を焦がしたものの、鱗の力が、仮初めの魂を持つ機械を、危機一髪のタイミングでそして最も絶妙なタイミングで救出する事に成功した。

 Kamiel からは息を飲む音が、観客からは歓声が。
 
 Kamiel の《ゴブリンの模造品/Goblin Replica》が《水晶の破片/Crystal Shard》こそ破壊したものの、彼の場には一人寂しく佇む《トゲ撃ちゴブリン/Spikeshot Goblin》が一体のみ。

 目の前には、死んでいたはずの《マイアの処罰者/Myr Enforcer》と《厳粛な空護り/Somber Hoverguard》そして二体のマイアが息荒く立ちはだかる。

 Kamiel は静かに目を伏せ、手を差し出した。

 残すは二試合。

藤田 3 - Kamiel 1

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