藤田 憲一 vs. Jeroen Remie

ラウンド 9

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 マジック界における、曙vs.ボブサップ。このマッチアップが発表されたと同時に、会場裏にあるサイドボードブースでは、「おいおい卓上に取材スペース足りねーよ!」と大評判。一気に三人ものライターがこの悪そうな巨漢対決へ駆けつけた。

 その圧倒的な対戦風景は、横に添付された写真画像で実際に確認して欲しい。
 
 ここで一つだけ疑問が。

 …赤コーナーはどっち?

Game 1

 藤田は初手を見て苦笑する。
 
 今回のアムステルダムでは、通常と違う進行形態が採用されている。初日に二回、二日目に二回のドラフトを行い合計 14 ラウンドというのが今までの形態。だが、今回は初日にまず 6 ラウンドを行い、その時点で 12 点に達していないプレイヤーの脚切りを行い、三回目のドラフトを行う。そのデッキで 1 ラウンドを行ったところで初日が終了。そのデッキを使用し翌日 2 ラウンドを行い、更に二度ドラフトを行う計 15 ラウンドに拡張されている。

 この方式の利点は、ドラフトの回数が増える事によって所謂運ゲー度合いが軽減される事。更に一度のドラフトで 4 ラウンドを行う違和感が無くなる事だ。また、三回目のドラフトは一度戦った後に一晩寝かす事になるにも注目点だ。
 寝かす間に、同志によるデッキ検討、サイドボード検討が可能だ。
 
 そこでやり玉に挙がったのが、藤田がメインに採用した《ゴブリンの放火砲/Goblin Charbelcher》だ。装備品と装備型生物という大きな柱がデッキに存在する白デッキでは、デッキのシナジーが優先される傾向が高い。そのデッキの中で全くシナジーを持たず、装備品に比べて確実性を欠く《ゴブリンの放火砲/Goblin Charbelcher》は異質な存在だからだ。

 更にサイドボードの中には、確実に仕事をしてくれる《真珠の破片/Pearl Shard》が埋もれている。

 「何これ? なめてんの?」
 
 とデッキを見た各人に突っ込まれ続けたわけだ。そして、その《ゴブリンの放火砲/Goblin Charbelcher》が初手の中でにっこりとこんにちわ。そりゃ苦笑もする。

 この苦笑が動揺に繋がったのか。藤田は開始直後にいきなりカードを一枚手札からぽろり。ゲームを大きく左右する《まばゆい光線/Blinding Beam》だ。
 
 Remie 「Thx man!」
 
 藤田 「No Problem」
 
 照れ隠しに悪そうな笑みを浮かべる藤田。だがうっかりとは裏腹に、その陣営は確実に展開し続ける。《ヴィリジアンの長弓/Viridian Longbow》から《金のマイア/Gold Myr》へとつなげ、更に《レオニンの居衛/Leonin Den-Guard》を召還する白装備型デッキの黄金パターンだ。

 《まばゆい光線/Blinding Beam》の存在を予想外の角度から知り得る事に成功した Remie だが、知ってるからといってくらわないわけじゃない。知っているからこそ、早期に登場してしまった 2/4 ティムへの対策に必死となる。

 《陰極器/Cathodion》、《ゴブリンの戦闘車/Goblin War Wagon》、《マイアの処罰者/Myr Enforcer》と急ぎ陣営を拡大させる Remie。しかし、それは藤田も理解している。まずは二体目となった《ゴブリンの戦闘車/Goblin War Wagon》が登場したところで《拘引/Arrest》を使用。《レオニンの居衛/Leonin Den-Guard》が侵攻する道を強引にこじ開ける。更にはクリーチャーでは防ぎようも無い《ゴブリンの放火砲/Goblin Charbelcher》まで設置し、マルチ本体爆撃モード。

 その前に殴り切らねばならない、Remie。だが、目の前には 2/4 の《レオニンの居衛/Leonin Den-Guard》が立ちはだかる。仕方なく生物を並べていくが、その間にもライフは減少を続け…

 最後に総攻撃を行ってから投了。

藤田 1 - Remie 0

Game 2

 「Go Ahead」
 
 藤田。今度は《真珠の破片/Pearl Shard》をぽろり。多くの観衆を、どんな芸能人水泳大会だよと本気で切々と突っ込みたい気持ちで一杯にさせてくれる。さすが組長と呼ばれる男は違う。

 だが1ゲーム同様に、戦場はぽろりの入る隙間の無い堅実な展開。《レオニンの古老/Leonin Elder》《金のマイア/Gold Myr》《ヴィリジアンの長弓/Viridian Longbow》そして、装備品の能力を飛躍的に向上させる《オーリオックの鋼打ち/Auriok Steelshaper》。場の緊張感が一気にクライマックスへ。

 対する Remie は《ゴブリンの戦闘車/Goblin War Wagon》からのスタート。3/3 は決して力弱いわけでは無いが、単体では組織された軍隊に対抗し難い。

 一度は《まばゆい光線/Blinding Beam》を使用し、マルチ放射網から《ゴブリンの戦闘車/Goblin War Wagon》の破壊を阻止した Remie だが、あり得ない二体目の《オーリオックの鋼打ち/Auriok Steelshaper》を見て動きが止まる。

 あなたが支払う装備コストは1少なくなる。
 オーリオックの鋼打ちが装備しているかぎり、あなたがコントロールする兵士と騎士は+1/+1の修正を受ける。
 
 これが正式な《オーリオックの鋼打ち/Auriok Steelshaper》のテキストだ。二体並ぶ事で効果は積み重なり、《ヴィリジアンの長弓/Viridian Longbow》は僅か 1 マナで装備可能な脅威のマシンガンと化す。

 これに対してなんら的確な対処方を見出せない Remie。必死の思いを込めて出した《トゲ撃ちゴブリン/Spikeshot Goblin》はあっさりと《拘引/Arrest》される始末だ。しかし、なんとか《ヴィリジアンの長弓/Viridian Longbow》さえ壊せれば…

 と藤田は苦笑しながら《ロクソドンの戦槌/Loxodon Warhammer》を場に。
 
 「Good Draft!」
 
 Remie は苦笑を返すしかなかった。
 
藤田 2 - Remie 1

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