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準々決勝: Kai Budde vs. William Jensen

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 何かが匂う瞬間。
 ロチェスタードラフトは分岐点の連続体である。一枚一手が展開という名の道を延ばし、その道がを連なりドラフトテーブルという巨大な都市を作り上げる。
 三番目のパックでの返し、黒いカードだけをとり続けていた Kai Budde が何気なくピックしたカード、それは赤いサイクリングランドだった。思えば、これが全ての始まりだった。Kai の右手に座る Snap はそれまで白いカードだけをとり続けていた。更にその右に座る Jon Finkel は赤青を決定しており、Snap は Kai の後ろで赤を取るか、Kai の前で黒を取るかの選択を迫られたわけだ。

 しかし、Snap が選択したのは、緑だった。

Baby Huey
 《クローサの大牙獣/Krosan Tusker》から突然と緑に参入を始め、Snap は白緑という特殊なデッキにひた走る。それを受けた Kai はこれ幸いとばかりに黒赤への道を。

 幾つかの展開のアヤを経て、完成したのは《腐れ肺の再生術師/Rotlung Reanimator》《ナントゥーコの鞘虫/Nantuko Husk》x 2、《陰謀団の執政官/Cabal Archon》x 2 を軸に数々のゾンビクレリックを搭載した半構築デッキだ。

 一方、Eugene Hurvey 、Nicorai Herzog という二人の黒緑に挟まれた形でドラフトした William Jensen は、この環境でのメジャーアーキタイプの一つである白赤を選択した。左右に二人分の白スペースを確保した Jensen。ドラフトポジション的には確率上の成功を約束された位置だが、思うほどのパック運には恵まれなかった。

 だが、そこはドラフト巧者の Jensen 。各種の火力を始めきっちりとビートダウン編成を整えている。

Game 1

 Kai が《骨を組む者/Boneknitter》から。Jensen は手札に《ショック/Shock》を持っていたが、相手が変形クリーチャーコンボデッキである以上単純なトレードオフを行っている場合じゃない。これを見送りながら《戦場の衛生兵/Battlefield Medic》を召還する。

 Kai が《切り刻まれた軍勢/Severed Legion》を追加し、更に両者が一体ずつ変異生物を場に出す。ここで動いたのが Jensen。《うつろう爆発/Erratic Explosion》で《切り刻まれた軍勢/Severed Legion》を、《ショック/Shock》で変異を除去し、一気に相手の場を崩壊させる。

 だが、Kai も手をこまねいてはいない。火力の放出を確認すると、《思考繋ぎのプライモック/Thoughtbound Primoc》、《火花鍛冶/Sparksmith》を送り出す。

 だが、Jensen の場に《圧倒する防衛者/Daunting Defender》が現れ、更には黒赤である Kai に対する最終兵器、《畏敬の冠/Crown of Awe》が装着されてしまう。

 これが全く止まらない。Kai にも《プライモック》という二点のクロックが存在するが、Jensen のそれは三点だ。

 無敵の 3/3 と 2/3 が互いのライフを着実に削っていく。その終着駅となるのは、Jensen の火力かはたまた Kai の《陰謀団の執政官/Cabal Archon》か。

 新たに追加した二体の変異と防衛者をレッドゾーンに送る Jensen 。Kai が必死に考えをまとめようとすると、Jensen は、しきりとその裏を確認する。まるで何かを誘っているかのように。

 ライフに先が無い Kai がこれを《骨を組む者/Boneknitter》と《火花鍛冶/Sparksmith》でブロックすると...
 
 《焦熱の火猫/Blistering Firecat》 7/1 かよ!
 
 かなり弱る Kai。《苦難の魔除け/Misery Charm》《ショック/Shock》で必死の抵抗を試みるも、待ちかまえていた冠と癒しの力が鉄壁の防御を。
 
Kai 0 - Jensen 1

Game 2

 Jensen が、《ゴブリンのそり乗り/Goblin Sledder》、《優雅の信奉者/Disciple of Grace》、二体連続での変異。Kai も《切り刻まれた軍勢/Severed Legion》から《ナントゥーコの鞘虫/Nantuko Husk》《陰謀団の執政官/Cabal Archon》と並べる。

 Jensen の変異二体が Kai へと向かう。うち一体を《ナントゥーコの鞘虫/Nantuko Husk》と《陰謀団の執政官/Cabal Archon》の二体がブロック。Jensen はまだ餌の乏しい《ナントゥーコの鞘虫/Nantuko Husk》に二点を選択する。Kai にはこれを生き残らせる選択肢も有ったが、レスポンスで火力をたたき込まれては目も当てられないと、そのまま墓地へと。

 Jensen の《圧倒する防衛者/Daunting Defender》は《苦難の魔除け/Misery Charm》により秒で生涯を終える。

 Kai は《戦慄の葬送歌/Dirge of Dread》をサイクリングで使用し、二体の攻撃で Jensen のライフを 12 へと。お返しとばかりに、Jensen も変異で攻撃し、同じく 12 へとKai のライフを減らす。Jensen は 変異を一体追加。

 Kai も変異を一体召還するが、これにはすぐに《ショック/Shock》が。Kai は一瞬表情を歪めて、これを表に、《堕ちたる僧侶/Fallen Cleric》だ。生存出来るわけでは無いが、なにしろクレリックだ。《陰謀団の執政官/Cabal Archon》の力を借り、生命を奪う弾と化す。Jensen 10、Kai 14。

「皇帝」Kai Budde
 Jensen は《優雅の信奉者/Disciple of Grace》を防御に残し、変異二体で攻撃する。《突進する石背獣/Charging Slateback》が表に返り一気に六点のダメージを与える。Kai に残されたライフは僅かに 8。

 しかもここで Kai の引きが止まる。もはや防御の必要無し、Jensen は三体での攻撃を。虎の子の《陰謀団の執政官/Cabal Archon》が《突進する石背獣/Charging Slateback》をブロックすると、今度はもう一体が表へ。そしてそれがなんと、5/5 の《物怖じするヴァレスク/Skittish Valesk》だ。《陰謀団の執政官/Cabal Archon》が己を最後の弾とし、二点のライフを吸収するも、Kai のライフは残り僅か 4。しかも場には生物無し。目の前にはプロテクション黒に護られた 1/2、4/3、5/5。

 さすがに死んだ。観客の歓声もそれを支持していた。

 だが、Kai は不屈。慎重に《ショック/Shock》を《突進する石背獣/Charging Slateback》へ使用し、既に《陰謀団の執政官/Cabal Archon》のダメージを受けていたこれを排除する。更には本体にもう一枚の《ショック/Shock》を、これで Jensen のライフは 6 だ。

 6。その数字に一体何の意味が?
 何故《ショック/Shock》は本体に放たれたのか?

 Kai がカードを引き、確認する。視線を Jensen へと戻す。
 場に土地を起き、その全てをタップする。七マナ。卓上の中央に最後の一枚が。

 《焼けつく肉体/Searing Flesh》本体に七点!

 再び会場が沸きに沸く。
 Huey の手から勝利がこぼれ落ちた。

Kai 1 - Jensen 1

Game 3

 今度は Kai が好調な滑り出し。《ただれたゴブリン/Festering Goblin》から《敵意の信奉者/Disciple of Malice》と続けて召還。Huey は 3 ターン目に変異でこれらを迎撃する。

 更に場には生物が並び続ける。Kai が《切り刻まれた軍勢/Severed Legion》《腐敗を導く者/Shepherd of Rot》《骨を組む者/Boneknitter》を、Jensen も変異と《ゴブリンのそり乗り/Goblin Sledder》を。

 ここで、Jensen に秘策が。相手の《ただれたゴブリン/Festering Goblin》を《脅しつけ/Threaten》で奪うと《ゴブリンのそり乗り/Goblin Sledder》の力でそれを生け贄に捧げる。更には死したこれの効果により、《骨を組む者/Boneknitter》の生命を奪う。

 ここでより直接的な効果を持つ《腐敗を導く者/Shepherd of Rot》を殺しておく手もあったが、Jensen は《骨を組む者/Boneknitter》を選択する。攻撃を阻害される方を嫌った形だ。だが、Kai のデッキにはライフが減ると致命的なカードが多く存在する。これが吉となるか凶となるか。

 その返し。Kai も全軍で突撃し、互いのライフが 12 へ。そして、怖れていた自体が。《陰謀団の執政官/Cabal Archon》のお出ましだ。

 Kai の場には三体のクレリック。そして《腐敗を導く者/Shepherd of Rot》。整理すると、

 《切り刻まれた軍勢/Severed Legion》の攻撃 → 二点。
 《腐敗を導く者/Shepherd of Rot》の起動 → 三点。
 《陰謀団の執政官/Cabal Archon》+クレリック二体 → 六点。

 いきなり訪れた僅か1ターンでの死亡宣告。
 だが、勝負はまだ解らない。第二ゲームで同じ状況に追い込まれた Kai もそこからゲームを覆したではないか。まだだ。これからだ。引いたカードを見て、それから全てが始まるのだ!

 ...

 《詮索好きなゴブリン/Nosy Goblin》

 いや、お前じゃ駄目だ。駄目すぎだ。

Kai 2 - Jensen 1

Game 4

 《戦場の衛生兵/Battlefield Medic》に対して《腐敗を導く者/Shepherd of Rot》。
 《乱打する岩角獣/Battering Craghorn》に対して《腐れ肺の再生術師/Rotlung Reanimator》。

 一見するといい勝負。だが、実は既にこの時点で勝負は決していた。

 この《乱打する岩角獣/Battering Craghorn》に《畏敬の冠/Crown of Awe》が装着。これで無敵だ。殴るぜ、殴りまくるぜ! と意気込む Jensen だったが、Kai はそんなゲームの展開を許さなかった。

 まずは、《戦場の衛生兵/Battlefield Medic》に《苦難の魔除け/Misery Charm》。そう、まずはだ。Kai が《ナントゥーコの鞘虫/Nantuko Husk》を召還した辺りで既に詰め将棋。必死に《圧倒する防衛者/Daunting Defender》で防御戦線を構築したい Jensen だが、そこにも《苦難の魔除け/Misery Charm》が。

 もはや何が何やら。

Kai 3 - Jensen 1

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